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年配の女たちの観る会に呼ばれて(翌日加筆)

obatyann

北陸のこの田舎町E市。
50代から60代、82歳にいたるまでの女たちが集まる
ある会に呼ばれた。

「ハートをつなごうゲイレズビアン特別編」が、
2月21、22日にNHK教育チャンネルで全国放送で流れたことで
テーマをあらかじめ周知させず、
皆でテレビを観てから、ゆっくり当人の私達を囲み
私の焼いたパンを食べながら、話してみようと言う
企画だった。

実は、事前に、私達の名前も、テーマも知らせないで
この会の定例会として開かれ、ミステリーツアー的企画のこの会は
テレビを観て、話の進行と共に深まっていった。

私達は、この田舎町で、そんな年配の人たちに囲まれ
理解をされるかとても心配だった。
E市では、レズビアンが現実に存在するものと解する人は
おそらくいないと思っているからだ。
30年間住んでいても
私達二人が、レズビアンであることは
まず誰も想像もしなかったし。

だから、何度も講師をお断りしようと考えた。

最近、原発から避難して東京から里帰りしていた、30代のY子さんに特別に参加して貰った。
彼女は、ゲイフレンドリーで性的マイノリティに理解があるだけでなく、
このことをライフワークにしたいとも考えているようだったからだ。

その会のリーダーのDさんは、性的指向が、彼女が取り組んできた人権問題で
唯一取り残してきた問題と感じ、私たちを呼ぶことにしていた。

誰も、そのことが意識されない中、14人ほどが集まった会場に
私達だけでいるのはちょっと心配だった。
大画面のテレビの画像を見る、参加者の顔をケイコは覗き込むようにして見ながら、
不安な気持ちから、逃れるようにしていた。

私は、数人が、テレビに向かい、理解を示す表情に
少し救われながら、視聴後の時間を迎えた。

ケイコは、カミングアウトとアウティングの意味の違いを丁寧に説明し、
かなりの覚悟ををして、取材されたことを告げた。
たとえ悪意がなくても人に伝わり、その後、悪意のある噂になることさえあるので、
注意深く伝えた。

ほとんどの女たちは、子どもの画面の中の私達への肯定的な物言いも含めて、
私達の子育てに感動した。

私達のようなセクシュアルマイノリティの当事者性を持っているかもしれない、
小さな家族のことを、これからの課題として話した人もいた。

そんないろいろな人達の中でも、Tさんだけが、
私達を昔から知っていたことが途中からわかった。

やっと生きていた、ベロ亭の子どもたちが小さかった頃を
Tさんは見ていた。、そして、
「どうして、こんな田舎に住んでいるのかと、ずっと思っていた。
生活に追われ、子育てをされて、それでも、今日まで負けなかったことがすごい。
都会でらくにもっと生きられるんじゃないかなあ、とか、
それでもやっぱり、彼女たちは便利さを求めているんじゃないなあ、とか、
いろいろ思っていましたよ。
その頃の子育ての時間に比べ、ゆったりとした時間になっていることが番組には映っていた。
良い時代に変わってきて、勇気を出してカミングアウトされたのだと思いました」

全身が熱くなった。私自身が必死で生きてきたことが
思いがけず伝わっていたことで、頭に血が上った。

生きているということは、まさにこういうことだと思ったのだ。

二人の関係がとても崇高だと感じ、「どんな始まりがあったのか知りたい」
と芯から訊きたそうな女性もいた。
ケイコがホンの少し答えてみたり、後半の時間、さわりだけ話したり。

この、すべて異性愛者で、しかも大家族制や古い家族関係の重圧が
今尚続いているこの町で、
ほとんどの女は、自然な番組の流れを汲み取ってくれた。

のえのことも、その参加者の年齢ゆえか、
母二人の苦しみが伝わって、丁寧な物言いが返ってきた。

のえの「雨の中」という、ある時代よく歌っていた一曲を流し、聴いてもらった。
ケイコは思いのほか、のえのことを自然と語ることができた。
ゲイフレンドリーのY子さんは、のえのこの曲をすごく好きだと言った。

だが、一方、私達のことが驚きでしかなく、言葉のない人もいた。
感想を言いたくなくて、ただひとり逃げるように帰ろうとした。

驚きを隠しもせずに、驚くほど正直に
「びっくりしたあ」と笑いながら言う二人がいた。
何に驚いたか訊くと、
「今日の講師の先生は誰やろって思ってたら、こういう方で…」
ケイコは、驚きを皆の前で正直に表してくれたことに対して、
「それでいいんです。それが嬉しいんです。
判ったふりして、本当は伝わっていないことだってあることだし」
と、二人に笑いかえした。

「二つの家族が共同生活しているってことでいいんじゃないですか。
それでも、やっぱり、レズビアンて言われたいのですか」
という、質問には、さすがに、
「あなたは、旦那さんといて、兄弟や友達に間違えられて平気ですか」
とすかさず訊かずにはいられなかった。
だが、それでもわかってくれない感じがあって
さらに伝えなければならなかった。
「レズビアンとは、ただの友達ではなく、セックスもあるのですよ」と。

こんなデリケートで大切なことを、わざわざ言わなければならないなんて、
ばかみたいで最悪。
でも、私の隣に、Y子さんがいてくれて、
その瞬間、私の顔を見て、たしかに頷いてくれた。
本当に救われた。

もし彼女が、その場にいなかったら、私は、深く傷ついてしまったかもしれない。
ありがとうY子さん。
ずっと、E市にいてよ。

ケイコは、ぼちぼち皆が帰ってしまう流れの中で、
渡したい資料を「本当に読みたい人だけもっていってくださいね」と念押ししながら渡したり、
逃げ帰ってしまいそうな女に、これほどまでに大切な私達のことを伝えたのだから
一言でも言ってから帰ってほしいと、ぐっと引き寄せて語りかけた。

そういった瞬間のケイコは本当にたくましい。
人の心に、自分の気持ちを合わせ、迫っていく。
そのままでいたら、自分が傷つくことを、芯から知っているからだ。

テレビを観ていた皆の表情を、なぜケイコは覗き込んでいたかを、
皆にわびながらも、最初にも、途中にもケイコはきちんと話した。
本当に心配だったからと。

そうした、恵子の思いに、きちんと寄り添う気持ちを告げるある女性に
とても安心を貰った。
たったそれだけのことでも、30年間異性愛者の中で、
緊張して、本当の自分たちを語れることなく、生きてきた私達二人は、嬉しかった。

ほぼ、成功だ。
ツイッターで、県内のレズビアンの女から、メッセージも届き
参加者全員に理解されるといいですね、こんな田舎だから難しいと思うけど・・。
といった内容を携帯で読み上げた。
「こんな田舎」と読み上げたとき、まさに、という感じで、皆から自然と笑いが起きた。

夜が更け、残りの参加者が4人になり、
より理解が進んだメンバーで、
またなにかで会える気がするような僅かだが、貴重な時間も過ぎた。
あらためてカミングアウトの意味を話したり、
大阪で活動するQWRCの資料や、この日のためにケイコが用意した、
レインボートーク大阪の新聞記事やケイコの番組冒頭のメッセージ、
番組の反響などで構成した資料も渡して、あらたに説明したり、再確認したりもした。

緊急連絡先カードを見せると
ある人が「もうわたしらは、病院なんかで、当然連絡先が決まっていると思われるから、
そういうカードの必要性を感じないんやネー」
と、マイノリティーの立場というものに想像を巡らせていた。
ケイコが、どさくさに紛れて、
「夫の名前を書きたくない、大切な人がいる人は、このカードを生かしたらいいと思いますよ。
例えばね。」と言うと、大うけ、大笑いだった。

リーダーのDさんは、
「離婚しなかったほうが、
保障もあり、社会からも認められていたと思うのに、
それを蹴って、二人が出会い、敢えて尊厳を大切にする生き方を選び、
そのほうがが辛いのに自分らしく生きたいと選んだ、それは覚悟が要ったろう。
男女のカップルよりつよい二人だと思う。この姿をみんなに見せたい。
対等でよく話をする輝かしい二人を見ると自分が恥ずかしい。」
と、とつとつと語ってくれた。
また、Dさんは、「E市から、ゲイレズビアンの国の法律を変えましょうね。」
とまで、玄関口で、別れ際の私達二人に言ってくれたのだった。

会の最後の時間になって、
自死遺族の会「ぬくもりの会」のタウチさんが、何人もの遺族の聞き取り調査の後に、
その時渡した資料にある詩『抱く者』を書かれたことや、
このシャッターばかりが下りたままのE市の街中とて、
自死の問題は人事ではない事態が進行していると聞いていること、
自死の問題は、何の解決もなく誰にも言えないまま引きずっていくと、
また同じ家族や友人のなかでさえ連鎖を呼ぶこと。
だからこそ、「のえルーム」が私達にとっても、あそこに集まる人にとっても、
なくてはならなかったこと、などもつけ加えた。

何かがすぐこたえとして返ってくることはなかったけれど、
そんなケイコの語りを、彼女達が耳を澄まして聞く姿は、とても真摯なものだった。

一方で、ヒデコの側からのケイコへの熱いまなざしを見やぶられたり、
ケイコさんは意外とあっさりしているなどと、
結構年配だと、異性愛者なのに、こんな私達二人の関係を冷やかす余裕のある人もいて
ちょっと、驚き。

そして、この、古い考え方が普通のこの町で
どんなアウティングも、
やっぱりひとつもないことを今も望むばかりだ。

ヒデコ    (あとから少し、ケイコが加筆しました。)
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| 虹色カミングアウト | 03:01 | comments:7 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

ヒデコさん、ケイコさんへ

加筆された記事、よみました。

お二人でコメント返信してくださって
ありがとうございます。
恐縮です!そしてすごくうれしいです。

ヒデコさんへ
茶碗の妄想笑いました。
お二人は、ほんとに大冒険的女子だと思いますよ!

ケイコさんへ
クッキーちゃんの文章はいつもすごい密度なうえに長いので
私はいつも気が遠くなります。ゆっくり読んでくださいね。
なんだか、ものすごく時間をかけて書いていました。

ケイコさんの長いコメントもよみました。

私は、あのお二人の映像という結晶から、
波乱、驚き、すれ違い、無視、肩透かしとは
全く反対のステキな感じを受け取った人がたくさんいるんじゃないかな、とすごく強く思っています。

クッキーちゃんと二人で応援しております!

| エルモ | 2011/04/15 12:12 | URL |

今、悲しみの極限にいます。こうなると、何も感じなくなります。何も聞こえない。何も視えない。
カミングアウト、と、アウティング。
尊厳をもって自らのかけがえのないアイデンティティを外に向けて名乗り出ること。
悪意を持つ持たないにかかわらず、まだまだタブー偏見差別の類が多い事柄で、そのことを知ったことを当人の同意なしにしゃべり、伝え、噂にし、最悪の場合には村八分にしたり、自殺に追い込んだりもすること。
カミングアウトする以上、アウティングは避けられない、とする相方と語気つよく話し合いました。アウティングを恐れていれば、数々のチャンスはたしかに遠のいていくのかもしれません。
それにしても、私は少なくともこの土地で、自分がどんな扱いを受けてきたかという記憶を消し去ることはできません。だからこそ、堂々と、ということと、だからこそ、消し去れない、まるでフラッシュバックするような屈辱、辱め、無視、と数え上げればきりのない記憶の数々。
私はどうすればいいのでしょう。
余りにたしかな光は屈折して、美しすぎる結晶になる。今では、のえの唄はそんなふうに私に響きます。
私の結晶はそれなら何?
どうしようもない衝動にかられます。あの番組を日本中回って、どこのどの録画も、全て消し去りたいような。
それでも、あの番組もまた、私たちのかけがえのない結晶であることを、私は知りぬいています。
ディレクターと、膝突き合わせて話し続けた日々。カメラが回り続けていようと、いつものようにいた私達二人。
一人歩きしていく、あの映像という結晶がもたらす、波乱、驚き、すれ違い、無視、肩透かし…。
もう、卒業しようと思っていました。それでも追いかけてきます。結晶だよ、結晶だよって言いながら。
私達の魅力?少なくとも私のそれがあるとしたら、底なしの弱さが見逃さない、人の底なしのあり方、存在。それだけ。
私は今、堂々としながらも、春の陽射しの下で、粛々と生きているだけ。それだけ。結晶を粉々にしたい衝動にすらかられながら。

| ケイコ | 2011/04/15 02:27 | URL |

読んでいてもわくわくどきどき、するような・・・貴重な時間を語ってくれてありがとうございます。取材されっぱなしになど決してしない、きちんと人とやりあっていこうとする、これがふたりの強みであり魅力ですよね。ごまかしていくのが得意なこの国で、そんなふたりの発するエナジーが大切です!

| けろたん | 2011/04/15 01:00 | URL |

エルモちゃん、さっきのはやっぱり妄想。流しに行ったら、片付けなければならない仕事がいっぱいでした。

遊びに来たからって、いきなり茶碗を洗ってくださいって、言いませんから、ご安心を。

| ヒデコ | 2011/04/14 15:58 | URL |

エルモちゃん!いつも遊びに来てくれてありがとう。
なんだかうちの台所で、エルモちゃんがたまった洗い物の食器を洗ってくれてる音がするのは妄想かな。

いや、そのパワーはね。
アメリカ社会だと、セクマイの意味が日常生活と落差があるのかないのか、判らないけど、私達はE市に住み始めた30年程前、100年違うところにきたって思ったの。
文化のちがいです。
その落差や、私達が、時代を先取りしすぎていたせいもあって、孤立感だったり、抑制感だったりすることが、返って、
力つけるのかな。

まあ、冒険的女子なのかな。
はは。
実は、地域密着型でなく、
「あー、旅したい」
これが私達二人の合言葉です。

| ヒデコ | 2011/04/14 15:38 | URL |

エルモちゃん、ありがとう。本当はクッキーちゃんのメールにお返事しなきゃいけないのですが、大事なお手紙すぎて、心の中で言葉を暖めています。ははは、雌鳥みたいだね。そして、エルモちゃん。あなた達に出会えて、私は幸せです。一日後にまた加筆しましたので、また読んでみてね。もっとふくらんだかな、と思います。でもね。ここまで来た以上、私達、このご老体でも、後に引けないんですよ。本気で伝え続ければ判る。判る人は判る。そうだよね。集まった女達、皆、エルモちゃんたちの親か、それこそ今度はホントにバアチャンの世代だものね。まあ、私達もだけど。
日本のビアンたちも、少しずつでも堂々と、しかも抜け目なく、そして品位をもって、いきましょう。一緒にいきましょう。ね。ね。心からの感謝と共に。

| :ケイコ | 2011/04/14 13:35 | URL |

ヒデコさん、ケイコさん、
こんにちは~。

田舎で年配の方々でも、わかってくれる人は
わかってくれるんですね。

Tさんという方が、ヒデコさんとケイコさんの
生き方をじっと見ていた、
というのが心に残りました

でも、レズビアンというのは
エッチをする関係なのだ、
とわざわざ言ったりしてまで、
分かってもらおうとする
ヒデコさんの姿勢や、

逃げ帰ってしまいそうな人に、
一言でも言ってから帰ってほしいと、
ぐっと引き寄せて語りかける、
ケイコさんの姿勢は
ほんとにすごいなあ、と思います。

お2人のそのパワーは
いったいどこから来るんだろう!?

知らない人はおろか、家族にもカミングアウトを
していない私には本当に衝撃的です。

でも、全体的には成功の会だったみたいで
ほっといたしました。

すごくお忙しそうですが、
お体、大事にしてくださいね!

また、遊びにきまーす。

| エルモ | 2011/04/14 10:13 | URL |















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