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何も変わってはいない

一年たっても何も変わってはいません。
のえへの痛みは、むしろ日ごとに鮮明さを増し、
その不在をひしひしと伝えて、
何も変わっていない、
何も変わっていない、
と座敷ワラシになった、のえが笑っているみたい。

一年たっても何も変わってはいません。

つまり、私はただ、空白の一年を生きたに過ぎません。

そして、
三十年たっても何も変わってはいません。
異邦人のように生きたこの土地で、
江戸時代のような、人間の魂を、意思を
殺して当たり前な日常が、
頭上を、私達の日常の直下を行き過ぎていきます。

何にも変わらないのが当たり前、
何にもかわらないのが当たり前、
ここはなんといったって、
天下ごめんの越前さ。
何にも変わらないのが当たり前、
政権交代だって?
そんなこと何にも関係ないことさ。

ここ九軒の集落に入ってくる道を、
町からの帰路、右折するとき、
私は何万回、
背筋がぞおっとする感覚に襲われたかわかりません。

どうしてここに住んでいるのだろう。
どうしてここにいつまでもいなくてはならないのだろう。

そんなことは判りきっています。

五人の子どもたちと共に住む地として選んだら、
気づいたら若くはない女二人が残されていただけです。
いまや姨捨の地です。

宝くじでも当たらない限り、
ここから脱出することはままなりません。
何かとんでもないことをしでかして、
天地がひっくりかえるかなにかしない限り、
ここから脱出することはできません。

私達は幽閉されたお化けです。

あさって、『ベロ亭とその仲間たち』という主催で、
この土地で、あるイベントをします。

のえの追悼の朗読も、
大阪からやってくるサックス奏者と共にします。

しかし、その気迫を根こそぎ奪い取るような、
そんな事態に昨日からあいなっています。

「その仲間たち」なんて素敵だよね。
私もそう思います。
私たちが「その仲間たち」なんて、この土地で言えるようになったなんて。

ところがどっこい、仲間は割れそうな薄氷の上で、
仲間のようにふるまっていただけ。
その人がどんなにやさしくとも、
その人がどんなに今まで力になってくれていたとしても、
そのイベントの当日、家業で参加できなくなったという事態に、
私達は、家業優先の江戸時代のような、
おそろしい、背筋が凍るような現実を見ます。

ここでは、一人の人の意思や、
つまりは個人というものは存在しえないのです。

そういうものだけを、
つまり個人というものを人の単位として、
当然のよすがとして生きている私達は、
ここで生きていくことに限界をもう十数年前から感じています。
少し前までここは大正か昭和初期と思っていたけれど、
間違いなくここはまだ江戸時代です。

以前に比べたら、百歩どころか、
二百歩も三百歩も退いたところから、
この土地の人々とお近づきになるようにしている、
昨今の私たちです。

だからこそ、起きてしまったことなのでしょうか。

久々に、永瀬清子さんの、『村にて』という詩を手にしました。

この村では、友達というのはないのですか。

大工の手元として一日走り回って、
でもただそれだけの一日をふりかえって、
この村には友達というのはないのですか。
と問い返す、痛切で悲しい詩です。

この村には情はあります。
しかしながら、友情はありえません。

私の教えている、たいがいの日系ブラジル人たちは、
ここでは日本人の友人は持ち得ない、と強調します。
おそらく、それと全く変わらない日々を私達は生かされています。

私たちには、越前ルールというか、武生ルールは永遠の謎です。
どんなふうにしても、なじむことはできません。
そして、それに染まりたいとも思いません。

それにしたがって当たり前のように生きている人は、
それはそれでいいのでしょう。
生きていかれるのですから。

ならば、私達はここでどうやって生きていったらいいのでしょうか。

何も変わってはいません。
一年前も。
三十年前も。


ケイコ

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遠い苦い記憶が鮮やかに甦る。忘れていない。忘れられない。目線を交わしたあの人もこの人も、今はどのように生きているのか。そして私は未だに群れの中には入れない。のえちやんの歌の叫びが響いてくる。この世界を去った者たちの姿が浮かぶ。社会の仲間入りをしているふりをして過ごす。

| けろたん | 2009/10/02 01:03 | URL |















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