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過去をめくる

ゆえあって、過去をめくる。

すでに三十代のこどもの保育園時代の連絡帳をめくり、
私の若い子育ての時代をめくる。
ひらひらと過去が息づいてきて、
私はさらに過去をめくる。

気づけば
世代を通り越して
色褪せたセピア色の古い写真まで
何枚もめくっている。

間に数枚いたずらのように挟まれた
私が産んだこどもの写真の姿は昔のカラーフィルムで
それすらも昔らしい
鮮明さに欠けたやけにさめざめとした色合いで
不意打ちのように
私の過去がめくられる。

ついには私は母の戦中の教師時代の写真までめくる。

なんだか母だけが妙に若い自信に満ちているのに、
学級の子どもたちの笑顔はどこにもない。

この光景にはいつも息をのみ
母が銃後の教師であったほんの短い間が
はらはらとめくられて
私がいなかった時代までが
忽然とめくりとられる。

もう一度戻れば母と私が手をつないだ写真。

いつも見ていた私とこどもが手をつないだ写真。

時代を越えてそれらの母と子はなんだか
妙に不思議そうに母と子をやっているように見える。

それぞれが与えられた運命をうまく享受できていないように見える。

過去がめくられる。

時代を越えて、
世代を越えて、
連綿とめくられる過去に
人と人が受け継ぎ、あるいは受け継ぐことを拒んだ歴史が
めくられ、そして閉じられる。

過去がめくられる。

私は現在に立ち尽くしながら
過去を放心して
牛の胃のように反芻して
まためくる。


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