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二週間ちょっとゆっくりめのクラス

また、一週間が過ぎました。しばらくヒデコが旅に出るので、私一人の日々が続きます。でも、その間にも二時間ちょっとのクラスを週三日します。去年からの新人のための今までの復習コースと、新人の中の三人、彼らはとても一生懸命やっているので、に、先に進む特訓コースという感じでしょうか。

旧メンバーが「新人、新人」と言っては、新米扱いし続けているメンバーに、良い意味で空気を入れたいと思っています。

ちょうど三週間の区切りが終わり、教えるグループも一息、エドウインもリスも旅に出ます。彼らは教える大変さの中で、自分がいかに日本語を習っても話せないか、に直面してしまったようです。

この一週間の間にも、ここに書ききれないくらいいろんなことがありました。でも、特筆すべきこととしては、火曜日にアギさんが急きょ来てくれて、一時間ほど通訳をしてくれて、私の言っていることがおぼろげにしか判っていなかったり、余り理解していなかったメンバーにかなりきちんと伝わったということでしょうか。

でも、わざわざ「通訳」してもらうまでもなく、ほぼ判っていた新人もいました。イルデ君です。これはまさにコミュニケーション能力の問題と言えるかも知れません。外国人の言うつたないスペイン語でも、どこまで汲み取ろうという力があるか、ということです。

皆が、一様にアギさんに感謝の言葉を述べるのは、ちょっと私としては聞き苦しかった面もあります。目に見えて役立ったと感じることしか、感謝の気持ちが沸かないという、理解のつたなさが少々情けないのです。

二日後のミーティングの席で、この日に皆が理解したこと、印象に残ったこと、いなかったフスティノさんをはじめ何人かに伝える、という作業をしました。三人ほどが、「ケイコ先生がよくスペイン語を話せないので」と前置きとして言うのに、あきれ返りました。アギさんは日本のテレビ局などとコーディネーターとして仕事をしている人ですから、プロ中のプロです。そんなアギさんと比べて簡単に、「よく話せない」なんて言われたらたまったものではありません。自分たちの汲み取る力のなさ、想像力のなさ、こそ自省すべきときにです。ちなみに私は中級程度のスペイン語力ですが。

でもまあ、この話し合いでは、意識してかしないでか、皆の話は比較的判りやすい話し方になりました。なにしろ、アギさんのいたとき、「ミーティングの席で、私たち二人をおいてきぼりにしないでください」と言ったばかりですから。

それもそうですが、彼らは日本語でも努力して話そうとするのが当たり前です。なにしろ、ここは日本語の自主学習グループのクラスなのですから。そのようにしようとして、まったく言葉が出てこなかったり、やっと話していない自分に気づいたリスが話そうとして、スペイン語と日本語が頭でごちゃごちゃになって話せないことに気づいたり、などなど、皆、少々まっさおになる事態に直面しています。余裕があるのは、バロイスだけ。まあ、フスティノさんはそんなことはありませんが。

ところで、この三週間でリスはやっと自分の今の限界に気づいたようです。本当はフスティノが責任を持つべきことまで、彼女が背負っている現実というのも大きな要因です。
フスティノさんは前より、心のなめらかさ、やさしさ、が磨り減ったようにも感じます。

そして、私たち二人、それからバロイスの提案で、新人三人を委員会に入れることとしました。なぜか、フスティノとリスは、特にフスティノですが、新人を委員会に入れることに、かたくなに拒否的でした。それをなんとか雰囲気つくりをして、こぎつけたことです。
バロイスも、私たちの前では自由にものが言えるみたいです。新人三人もそういう面があるかもしれません。ペルー人同士の関係の自由さももちろんあるとしても、不自由さの大きさも否定できない側面であるようです。なにしろ、階層社会ですから、底辺を生きるメンバーは、リスのようなもともとはお嬢さん育ちのサブリーダーの言うことには、すぐには応じかねる、そんなこともあるように感じます。

リスは一皮も二皮もむけて、ある意味自分を皆に見せた結果になったこの日々に、さらのリスに戻ったようにも思います。格好つけていなくてもいい、そのまんまで皆とかかわっていけば開けていくものがおのずとある、それってどこでも難しいものですよね。

それにしても、その元凶は、いまや四十代後半に突入したフスティノさんの老いにあるうにも思えるのが悲しいところです。今まで彼に感じなかった「男の限界」を感じる今日この頃です。マッチョではないけど、どこかにそんなものが漂うようになったのです。きっと、人は弱さを隠さなければならないとき、男らしくしたりするんでしょうね。よく判る気もするけれど、長い彼との歴史を思うと、とてもさびしい気持ちにもなります。

まあ、新人にむしろ期待して、といってもささやかな期待ですが、二週間の自由なクラスを乗り切ります。午後は、私はスペイン語の学校に通います。二時間だけですが、先生について習うのは、長い学習歴の中でも、本当にわずかです。独学三昧でしたからね。

私は荒野で耕しています。永瀬清子さんの詩の一節を思い出します。



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