PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

のえの蔵書より見出した今日の詩……もしもきみが朝ならば かならず鳴り始める目覚まし時計があるはず

のえの蔵書より見出した今日の詩……もしもきみが朝ならば

急行列車の止まらない駅があるように
急行列車の止まらない悲しみがある
そんなひっそりとしたかなしみに
胸が虫食われちゃったら
ぼくの言葉を思い出すんだ
こころだって何回も脱皮するのさ


せみのぬけがらが
夏の日射しに透明になっていたら
そこからひとつのたましいが
かつて巣立っていったということさ
学校の先生が
りんごは何の役に立つのかときみに聞いたら
なぜすべてのものは
役に立たなければいけないのか? と
そっとつぶやいてごらん

もしもきみが朝ならば
かならず鳴り始める目覚まし時計があるはず
そしてその音にとび起きて
一日を始める少年もいるだろう
そんな少年がいつの日にか成長して
きみに握手を求めてきたとき
きみは誇らしげに握手できるはずさ

だから今日も勇気を出して
挨拶するのさ
そう
かなしみよ こんにちは
かなしみよ さようなら

詩とマンガと小説!『少年文芸』創刊号 巻頭詩  作者無記名

今日から私の書斎は春である。いや、朝である。
そこで山のように埋もれ、かさなり、ごちゃごちゃの極限状態になった部屋を片づけることから始めた。
娘ののえの蔵書から何十冊もこの部屋に持ってきていた何冊かを、特に野宿関係のものを、「リメンバーのえルーム」に戻す。入れられる棚を探す。そのついでに、もうすぐ誕生日を迎える高一の孫にふさわしい何冊かの本を発見する。
挙げた詩は、その一冊の巻頭にあって、ぶるっときた詩である。

のえはこの『少年文芸』創刊号をどんな気持ちで購入したのだろうか。刊行は2005年5月とある。
巻頭詩をパソコンで打つためにページをおりこんで、
のえが折り目のひとつもつけていないのに気づいた。
ごめん、恵子ちゃん、折り目つけちゃったわ、とふと囁く。

本の入れ替えの季節は脳細胞と心とたましいの入れ替えの季節でもある。

おととい行った隣の市の図書館には、新潮社クレストブックスの、ダニエル・アラルコンの第二作目の翻訳が新刊として並んでいて、「うわっ、あったあ」と声を挙げてしまった。
1作目の『ロストシティラジオ』に惹きこまれた、
ペルー系アメリカ人の新進。

アイヌ民族詩人の友達、戸塚美波子さんの
宝物のような『金の風に乗って』
まだ1年と満たない出逢いの
トーベ・ヤンソンの大人のための短編集
夏ごとの女二人の絆を深めた島暮らし

机の上は地層みたいにあらゆるメモ、あらゆるフライヤー、
あらゆる資料の山で、これをきれいに崩さないように置くべきところに置かなければ、
とんでもないことになっているこの書斎がますますとんでもないことになる。

自閉症スペクトラム
自殺と自死に関する本
グリーフケア、グリーフワーク、グリーフサポートに関するもの
音楽の根源にかかわる新書や文庫
のえの子どもの頃のお気に入りの「みんなのうた」
強制収容所関連の幾冊もの著作
私の毎年の手帳10冊近く
のえのそれは20冊ほど
手紙、 テープ、メモ、メモ、メモ、ファイル、ファイル…

それから、私のこの5年余りを支えてきた、
執筆とは直接かかわりないとはいえ、
心底のエールとなった、詩集、児童文学、
長田弘に柳田邦男にドストエフスキー

実はそれらは枕のすぐ後ろにあって、いつでも取り出せる。
眠れなくなったら、読むこともあった。
「わたしの20世紀図書館」「読むことは旅をすること」。
あっ、佐野洋子も忘れちゃならない。景気づけ。笑いを忘れないために。気概を保つために、私のなかに眠らされているユーモアをかきたてるにも。

ありとあらゆる辞書の類い。
類語辞典さん、お世話さま。
基礎日本語辞典は日本語学習者向けなのに役立った。

今、聴こえているのは、
のえの膨大なコレクションの中では10枚ほどという
少なさのクラシックから、
バッハの無伴奏ヴァイオリンパルティータ。

始まる。始まる。
本やら手帳やらにこめられた人々の過去の記憶に支えられた日々から、のえの記憶が前に出る日々がきっと始まる。

この大掃除の副産物として、やっぱり生かそうじゃないか、
のえの甥っこに、高一だもの何冊か生かしてもらえそうなものは、贈ろうじゃないか。あと数日で15歳の誕生日。
のえが逝ったその年には7歳の少年だった。
ものわかりが良すぎることも、もう少し考えてやらなきゃね。

のえの集めた本の数冊が、甥っこのこれからの人生の、
もしかしたらヒントになるのだとしたら、
ここに置いておくよりはよほどいいはずだから。

ところで、私はこんなことを書いている場合じゃないんだ。
書斎を整理整頓して…不可能だとしても少しは…
頭も整理整頓して、やらなきゃならないことがある。

春の声。
昨日の思いがけない
日系ブラジル人の私を探していた人との再会。
2月11日の敦賀の海辺での語らい。
ゆっくり書きたいことはどんどんと積もっていく。
ああ、追いつかない。

が、ここいらで今日はおしまい。
パルティータのヴァイオリンがひゅうひゅうと胸をつく。

春が来たよ。
朝が来たよ。
のえ。
間違いなく、目覚ましが鳴ったよ。

恵子   2016年3月10日午後4時半
スポンサーサイト

| のえと共に | 16:45 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://puentenokai.blog26.fc2.com/tb.php/1397-3017a75c

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。