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自閉症裁判…レッサーパンダ帽男の「罪と罰」」一気に読破! ……あいつぐ「自閉症スペクトラム」特性(障害)の持ち主からの被害のはてに……10時間後に加筆!!


自閉症裁判…レッサーパンダ帽男の「罪と罰」」一気に読破!
    あいつぐ「自閉症スペクトラム」特性(障害)の持ち主からの被害のはてに……10時間後に加筆!!

 九月二十二日の宝物のような集いの報告が書けないでいるのは、参加者の事後の印象などの声が、それぞれが多忙で揃わなかったのもあるが、実は、この集いの直前と直後に、がつんと来るような衝撃を受けたのもある。
 注意深い読者には周知だろうが、二十二日の参加申し込みについては、あえてハードルを設けた。それを理解しているかと見えた一人から、集いまであと半時間というタイミングで、いかに都合が悪くて来られないか、というメールが来た。スーパーKYメールだった。本人にその気がないのは判るが、上から目線の自分の状況が派手に書かれていて、参加するどころではない、といった調子が馬鹿丁寧、慇懃無礼に綴られていた。
 集いの前に、ミニコラボをしたっていい、とひととき思ったりもした相手だったが、その人は、二度にわたる機を逃し、しかもハードルにきちんと向き合うこともなかった。わあっ、来たカー、自分のなかだけでくるくる回転してる…、こちらの立場への想像力などかけらもないと言っていい。いや、かけらくらいはあったと見なすべきか。むろん、いまだつながっていたいとも思う人である。
 一方、集いの翌日、集いの参加者の一人が発した、別件の一言が、私たち二人にまたも襲いかかった。それは離れて暮らすわが身内にも及び、解決まで時間を要した。あらぬ、あってはならない一言を発した一人のケアとフォローまでも、私と英子は続けない訳にはいかなかった。

 そのプロセスで、自閉症スペクトラム障害の倫理的課題、にかかわる文面を二度にわたって読み、そのはてに、読まない、読めないと禁忌にしていた「自閉症裁判」の本を取り寄せ、今日ユーパックで届いたその手で読み始め、そのまま読破した。最後の二十頁あたりに及んで、声をあげて泣いた。今日という日に読むべくして読んだ、と思った。

 軽度の知的障害を伴う自閉症で高等養護学校を卒業したにもかかわらず、「中卒の冷酷な通り魔」と当初、マスコミが扇情的に実名報道した、あの事件の背景を、本人の生い立ち、公判の経緯、関係者のインタビューとともに浮き彫りにした、力作ノンフィクションである。
 三年ほど頁を開けずにいた「自殺の九割は他殺である」という監察医が書いた本とは、ハードルの高さの中身が全く違う。
 おそらく、この「自閉症裁判」については、のえが生きていた頃にすでに知っていたと思う。そして、レビューのいくつかを読み、とても手に取れないと判断した。
 レビューのいくつかには、この兄を、そして同じく知的障害を持つ父を、ひたすら支え続けた妹が末期ガンになり、兄の犯罪の発覚後、ようやく支援の手が伸びて、人々に寄り添われる最後の日々に触れたものもある。そんなレビューにおける、彼女への同情は、なんともやりきれなく心をしめつけた。
 弁護団のみならず、支援者のひとりには、養護学校時代の先生も登場する。テレビでこの事件が実名報道された瞬間、頭がまっしろになり、地面がゆらいだという彼女。以後、どうしてここに至るまで、どうにもならなかったのか、という内なる問いにも、本人とのやりとりも含めて向き合っていく。
 つけ加えれば、養護学校を出た生徒たちで、行方がまったく判らなくなる生徒たちが三割ほどいるという状況すらある。

 一方、私は、今日まで、自閉症スペクトラム障害による生きづらさが、自死にまで追いやられる方向をおおきな課題として、思索の限りをつくした。
 執筆もきわめた。
 自死と犯罪という、正反対のベクトルの生きづらさには手をつけなかった。

 実は、このスペクトラムのどこかに確かに属する人たちからの被害は、去年から間をおかず続いている。今回の二人はそれなり自覚してもいる人たちだが、それでこの程度だから、自覚もしておらず、文化人やアーティスト気どりだったり、あれこれの聖職者だったり、学位が絶対基準の研究者などとなると、本人がいかに相手を傷つけたか意識できないだけに、たちが悪い。
 なまじっか、知的能力に問題がないと、本人が自分の核にある部分と四重くらいの翻訳をして、かろうじて立派な人を演じていたりもするので、実のところは、重篤な障害も、私ぐらいにしか「見えない」から、見える私としては歯ぎしりする思いにもなる。そんな思いにもなりながら、被害をふりはらいつつ、相手をもフォローし、謝らない相手にすら時に謝罪し、助け、慰留し、もはや私は疲れ果てている。
 疲れ果ててもなお、このスペクトラムに属する人たちへの、どうにもならない、いとしさのほどは変わらない。
 そのことだけは、記しておきたい。

 そのはてに手に取った「自閉症裁判」。タブーをしのいで一気読みした今日。のえの命日まであと三日で七年目という日。

 そして、私はもうひとつのスペクトラムが存在していることをもかみしめている。
 ほとんどの日本人が、死に、とりわけ自死に、そうしてノコサレタ人に、いかほどの想像力の、コミュニケーションの、社会性の障害があるかを、かみしめている。
 私を、覚悟の寛容で魂をひもとくファシリテートへと導いてくれたのは、これらの喜怒哀楽の、とてつもない温度差であり、ばかばかしいほどの立場の違いへの、あってはならないはずの無理解に、避けられようもなく数限りなくさらされたことである。
 そこには、とりわけ性的少数派の半数が、正真正銘も含む自閉症スペクトラム(的)特性ないしは、障害を、無自覚なまま歴然とひっさげて存在していることもある。

 今日、読破した本の著者、佐藤幹夫氏は、もう一冊「自閉症裁判」にかかわる本を出している。こちらも近日中に購入するだろうが、また震える思いで読むことができるだろうか。そんな思いもある。
 そして、2005年に起きた、別の事件で三人をあやめた、同じ障害を持つ青年の裁判において、犯罪をおかした自閉症スペクトラム障害を持つ者を、反省に導けない場合は、ついに「贖罪なき更生」へと道づくりをする以外にない、というところまで展開しているらしいのだ。判らないものは判らない、そのうえでどう、重大な罪を犯した者をも「生かす」のか、という立て方なのだろう。実に興味深い。
 今日読んだこの本のおもみには、書き手が、被害者の両親、祖父母、叔父叔母にも根気よく取材を求め、矛盾に満ちた立場ながらも、本心をも、なんとかして耳傾けるという態度を貫いたことも大きかろう。
 バランスに欠いてはならない、という自戒とも言うべきものが、読後にずしんと響いてくる仕上がりである。

 他者の痛み、傷、被害に必要な想像と思いを巡らすというのは、この時代においては、「自閉症スペクトラム障害」にある人だけの課題では、もはやない。
 無前提に、ヒトサマの人生に共感したり、敬意を持ち、それを表明したり、ということは、今や根こそぎ損なわれてしまった時代ではないのか。
 日本という社会そのものの存続の危機ですらある、と思う。

 罪ありき。
 そして、罪の意識の自覚へと導こうとする、支援者や弁護団の丁寧なプロセスをもムゲにする、警察、検察、裁判所、がこぞって声をひとつにする、罪ありき、ゆえに、厳罰こそありき。
 本人は、無期懲役の意味もおもみも理解していないというのにだ…。
 そして、検察の筋書きを変えうる、目撃証言がいくつかあるというのにだ。
 また、公判の後半で、彼が改悛の情ともいうべき言葉を、つたなかろうと杓子定規であろうと、言い始めた事実である。
 私はあら、ちゃんとに言っているじゃないか、とも思った。と同時に、たしかに一般には、あまりにも幼く、舌足らずでみずからの罪に向き合いきっているとは言えないと映るだろうと、読み進めるうちに了解。
 私の側が、この特性に慣れているために、甘い判断をしたとは思わない。
 が、実際どれだけ罪のおもさが判っていたとも言い難い。

 いや、もうひとつ何よりも重要なことを書かねばならないだろう。
 判決が出たあとの、肉親の反応。弁護士が訊いた時の弟の反応である。
「なにかありますか」「いいえ、なにもありません。」
 支援者たちにガンの末期状態で、温泉行きやら夢を実現させてもらっている途中に、判決前、小菅拘置所近くを通りかかったときの妹。
 「いらっしゃるんだし、寄りますか」。聞こえないふうにしてひとことの返答もなし。
 つまり、「通り魔」となった彼は、無期判決のあとも、孤独というよりも、肉親からの断絶も含む、孤絶というべき位置にいつづけているのだ。
 それが軽度の知的障害を伴う、ある自閉症の青年のあまりにも苛酷でリアルな現実なのである。


 その他のリアリティは、こころが傷んでまだ触れられない。
 文庫にもなっているから、関心のある人はぜひ手にとってほしい書物である。
 結びにひとつ。
 被害者の父親が、はじめて公判で加害者を見たときの印象を語った言葉である。加害者は、背が高く体格もいいのだが…。
 「意外でした。繊細な弱々しい印象でした…」。

  2015年10月3日   米谷恵子(文責)
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| 映画・ドラマ・本より | 15:34 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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