PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

ハンガリー映画『人生に乾杯』を『かないくん』と共に考えてみた

ハンガリー映画『人生に乾杯』を『かないくん』と共に再び考えてみた

昨日、『人生に乾杯』のことを、テルマ&ルイーズなんかとかさねて書いてしまった責任?を感じたりもして、再度この映画のことと、ヒデコからの誕生日のプレゼント『かないくん』(谷川俊太郎著・松本大洋絵)とかさねて書いてみることにします。

昨日のブログを書いてから、ハンガリーの歴史が急に気になってあれこれ調べてみました。えっとーっ、ハンガリー動乱は何年だったっけ?なんて具合にです。

何年か前に、日系ブラジル人の中三の女の子に、国語と社会を教えたことがあるんですが、ソ連邦があったなんて、歴史の一コマになっちゃったんだなあ、と歴史の教科書を見て感慨深かったことを思い出します。ソ連邦ってなに?って世代が出てきてるって本当らしいですね。ロシアで、ともあれオリンピックが進行している今、ありゃりゃって困り感が募ります。

もう一度『人生に乾杯』をおさらいすると、これは喪失と再生の物語でもあります。ソ連邦とドイツという大国に囲まれた小さな国はポーランドや旧チェコスロバキアのみならず、ハンガリーもそうなんですね。

そういう、かつてのあっちを向いたりこっちを向いたりの、社会主義体制や共産主義体制に、大国のはざまで翻弄された小さな国の誇りに賭けて、その「終わり」を老夫婦の淡々としたギャングぶりに託した、というのが本当のところだという気がします。

ハンガリーの歴史を読み取ろうとしても、とても一晩ては無理って感じでした。でも、ともかく、どんな国に生きていようと、人々は生きようとするんです。その時代の郷愁と拠り所でもある、シンボリックな大切なものを最後には手放せずにいる。それが、貧乏のきわみで、その貧乏も体制が変わってもたらされた貧乏なんだけれど、手放さずにはすまなくなった時、ふっと人間としてのキャパが越えるのだと思います。

80歳と70歳の老夫婦の出逢いは、1950年として描かれています。それから、一人息子を軍の車による事故で失ったのが1971年、そして、映画の舞台は2000年前後。

実は、この映画の原題は『終わり』と、なんともそっけないもの。でも、これは東欧に生きる人々にとっては、大きな意味があったのだと思います。終わらせて始める。終わりを認めて、始めようとする。

そのために、彼ら二人を追う、若い警官のカップルが登場して色々ドラマを展開します。
で、ラスト近くでは、老夫婦の終わりと、若いカップルの間に芽生えた命の兆しとが交叉します。終わっていく場所は、亡くなった息子の眠る場所のすぐ近くです。

彼らの強盗ぶりは、実に淡々としていて不器用ながらも落ち着いています。ハリウッド映画のドラマ性なんて要らないって感じで、ひょうひょうとしています。老いることってこういうことなんだよねって思います。カッコ悪いのにカッコいいの。どっかつき抜けているのです。ギャングだなんて忘れてしまいそう。
50年連れ添った、うまみがしみじみしみる会話が良かったり。

ところで、Facebook上で、『かないくん』の読後感を、この本を紹介してくれた方から聞かれて、私は応えました。
この方は、「失われたから、始るものもあるのですか」といった質問をした。私はこのブログでもかつて書いたことのある応えを書きました。
それからしばらくして、彼のこの質問、おかしいなあって思い始めました。
「失われてもなお、始まるものもある」であって、多くの人は「失われて、始まらない」人生をかみしめているのではないですか、と返しました。

昨夜、ねる前に書いて、起き出したら、この本を紹介してくれた方から、質問していて舌足らずと感じていた旨、腑に落ちた旨、書かれていてほっとしました。

『かないくん』、松本大洋くんの絵がいいですよ。文字のない絵だけの頁がのこしてくれる余韻は相当のもの。そして、私は最後の頁の女の子の表情が好き。
好きと言うより、たまらない。ぞくぞくする。スキーを踏み出した瞬間の風をきる表情。

これは喪失をたった今、知った少女が、すでに「意志」と共にそこに向き合っている、ということを思わせる表情に、私には映ります。
大切なおじいちゃんの然るべき死だから、こう表現ができるのだと思います。


然るべき死ではないと思わされるとき、人は、そういう「意志」を持つ事すら阻まれるのだと思います。

ハンガリー国民は『人生に乾杯』という『終わり』の映画に、かみしめた始まりがあったのだと思います。そう信じられる暖かい映画でした。

はてさて、62歳になった一日目がスタートしてしまっています。

ケイコ




ハンガリー映画『人生に乾杯』を『かないくん』と共に再び考えてみた

昨日、『人生に乾杯』のことを、テルマ&ルイーズなんかとかさねて書いてしまった責任?を感じたりもして、再度この映画のことと、ヒデコからの誕生日のプレゼント『かないくん』(谷川俊太郎著・松本太陽絵)とかさねて書いてみることにします。

昨日のブログを書いてから、ハンガリーの歴史が急に気になってあれこれ調べてみました。えっとーっ、ハンガリー動乱は何年だったっけ?なんて具合にです。

何年か前に、日系ブラジル人の中三の女の子に、国語と社会を教えたことがあるんですが、ソ連邦があったなんて、歴史の一コマになっちゃったんだなあ、と歴史の教科書を見て感慨深かったことを思い出します。ソ連邦ってなに?って世代が出てきてるって本当らしいですね。ロシアで、ともあれオリンピックが進行している今、ありゃりゃって困り感が募ります。

もう一度『人生に乾杯』をおさらいすると、これは喪失と再生の物語でもあります。ソ連邦とドイツという大国に囲まれた小さな国はポーランドや旧チェコスロバキアのみならず、ハンガリーもそうなんですね。

そういう、かつてのあっちを向いたりこっちを向いたりの、社会主義体制や共産主義体制に、大国のはざまで翻弄された小さな国の誇りに賭けて、その「終わり」を老夫婦の淡々としたギャングぶりに託した、というのが本当のところだという気がします。

ハンガリーの歴史を読み取ろうとしても、とても一晩ては無理って感じでした。でも、ともかく、どんな国に生きていようと、人々は生きようとするんです。その時代の郷愁と拠り所でもある、シンボリックな大切なものを最後には手放せずにいる。それが、貧乏のきわみで、その貧乏も体制が変わってもたらされた貧乏なんだけれど、手放さずにはすまなくなった時、ふっと人間としてのキャパが越えるのだと思います。

80歳と70歳の老夫婦の出逢いは、1950年として描かれています。それから、一人息子を軍の車による事故で失ったのが1971年、そして、映画の舞台は2000年前後。

実は、この映画の原題は『終わり』と、なんともそっけないもの。でも、これは東欧に生きる人々にとっては、大きな意味があったのだと思います。終わらせて始める。終わりを認めて、始めようとする。

そのために、彼ら二人を追う、若い警官のカップルが登場して色々ドラマを展開します。
で、ラスト近くでは、老夫婦の終わりと、若いカップルの間に芽生えた命の兆しとが交叉します。終わっていく場所は、亡くなった息子の眠る場所のすぐ近くです。

彼らの強盗ぶりは、実に淡々としていて不器用ながらも落ち着いています。ハリウッド映画のドラマ性なんて要らないって感じで、ひょうひょうとしています。老いることってこういうことなんだよねって思います。カッコ悪いのにカッコいいの。どっかつき抜けているのです。ギャングだなんて忘れてしまいそう。
50年連れ添った、うまみがしみじみしみる会話が良かったり。

ところで、Facebook上で、『かないくん』の読後感を、この本を紹介してくれた方から聞かれて、私は応えました。
この方は、「失われたから、始るものもあるのですか」といった質問をした。私はこのブログでもかつて書いたことのある応えを書きました。
それからしばらくして、彼のこの質問、おかしいなあって思い始めました。
「失われてもなお、始まるものもある」であって、多くの人は「失われて、始まらない」人生をかみしめているのではないですか、と返しました。

昨夜、ねる前に書いて、起き出したら、この本を紹介してくれた方から、質問していて舌足らずと感じていた旨、腑に落ちた旨、書かれていてほっとしました。

『かないくん』、松本大洋くんの絵がいいですよ。文字のない絵だけの頁がのこしてくれる余韻は相当のもの。そして、私は最後の頁の女の子の表情が好き。
好きと言うより、たまらない。ぞくぞくする。スキーを踏み出した瞬間の風をきる表情。

これは喪失をたった今、知った少女が、すでに「意志」と共にそこに向き合っている、ということを思わせる表情に、私には映ります。
大切なおじいちゃんの然るべき死だから、こう表現ができるのだと思います。


然るべき死ではないと思わされるとき、人は、そういう「意志」を持つ事すら阻まれるのだと思います。

ハンガリー国民は『人生に乾杯』という『終わり』の映画に、かみしめた始まりがあったのだと思います。そう信じられる暖かい映画でした。

はてさて、62歳になった一日目がスタートしてしまっています。

ケイコ


スポンサーサイト

| 映画・ドラマ・本より | 16:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://puentenokai.blog26.fc2.com/tb.php/1201-d5185f31

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。