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「姨捨山」に白い地獄がふりはじめた

yuki.jpg

ならやまぶしこう、という「姨捨山」を清冽に、厳粛に描いた小説があった。
私たちの現実は、まだ、そこまでは一応、行ってはいない。

古いけれど、大きな家。
雪をなんとかしのげる暖房。
昔のようには雪が吹き込まなくなったサッシのドア。

なんとか雪道を走れる、古くなったジープ。
それでヒデコは今、灯油の買い出しに行っている。
とうとう雪が積もり始めて、まだうっすらだけれど、
初雪葛がぞっとするほど美しい姿をうらぶれたガーデンの中で誇っている。

せめて、この初雪葛くらいの誇りをもって、
ここを誰にも、誰よりも自分に「姥捨山」と思わせない生き方を探したい。

先立つものもほとんどつきてきた中、
原稿書きのラストスパートは、大きな不安に包まれる。
こんな馬鹿な作業に命をすりへらしていていいのか。
灯油にガソリン、雪かきぐらいできる体力、
そんなもののほうが温存されていることが何よりも大事なここでの冬。

嵐が過ぎて、庭は洗いざらしみたいにきれいさっぱり。
何一つ残していないかのような中に、初雪葛が顔色一つ変えずにある。

せめて、この初雪葛のように、この冬を過ごせるだろうか。
いくら厳寒の北海道の二月生まれでも、私はもうあの「ならやまぶしこう」の老婆のような、
そんな、甘え一つ許されない世界からは、ほど遠いところで、
ただ、ばかみたいに原稿が嵐に吹き飛ばされる夢を見て、震えている。

のえのCDブックを皆さん、なんで待ってるの??
私は心から問いたい。なんで待ってるの。なんで待ってるの。
この執筆になんの意味があるのか、なんで問わずに待っていられるの。
どうしてそんなにのんきでいられるの。

いっそ、この原稿の束をこがらしに飛ばし、
私もちらつき出した白い地獄に身を任し、凍り付いて、のえのところに、
自然といったらそれはそれで楽なのかもしれない。

原稿の内容につながる人々に携帯メールを送ったり、
そんな切ない手続きが、今日はひときわこたえる。心をついばむようだ。
一人一人が「勝手に」自分の都合のいい日を言ってくる。
当たり前だ。それぞれがそれぞれの時間の中で、精一杯生きているのだから。

で、どうする。
で、どうなる。

「姨捨山」に白い地獄がふりはじめた。

昨日話したある人は、
あの番組の雪かきのシーンに、
私たちの人生が透かし彫りに見えたという。
それほどの時間の蓄積。
徒労のような、蓄積には時にならないばっかりの蓄積。

おおい、誰か雪をかきにきてくれる人はいないのか。
もう私たちにはそれは無理だ。

刻一刻、白いものが地獄のように降り積もるとき、
私たちのここでの人生は、名実ともに「姥捨山」になる。
どんなに遠くの、かつての娘や息子が思っていたとしても。
いろいろな贈り物がそれなり届いたとしても。

どうにもならないもののメタファーのように、
雪は降る。あなたは来ない。トンブラネージュ、いくら呼んでも…。

いえ、明日には大阪から大切な客人も来ます。
助けて。
SOS!!

豊かな豊かな話も、いくらでもできる私たちの、
偽らざる毎年の冬ごとの現実が、今日舞い降り始めました。

トンブラネージュ、あなたは来ない…。

せめて、ここが「姨捨山」だと思わせない引力が、
しっかりと感じられますように。
天国からも、地上からも、都会からも、各地方からも。

せめて、ここが覚悟のもとの「ならやまぶしこう」では、
まだまだありませんように。

いずれ、そうなるとしても。
いずれ、そうなるとしても。
まだ少し早い。
まだ少しきっと早い。

語り残した事を語れるまでは、
「姥捨山」にしないでくれ。
「ならやまぶしこう」の厳粛な覚悟をまだ自分のものとはしたくない。

まだ…。
まだ…。

ケイコ

追伸 ならやまぶしこう は  楢山節考 という 深沢七郎の
おそるべき短編小説です。何回か映画化されてもいます。
文庫本で、アマゾンでも安く買えますから以下のアドレスで見てくださいね。
関心のある方はもちろん、すごい!!作品です。

http://www.amazon.co.jp/%E6%A5%A2%E5%B1%B1%E7%AF%80%E8%80%83-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%B7%B1%E6%B2%A2-%E4%B8%83%E9%83%8E/dp/4101136017
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| ベロ亭から | 16:34 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

「期待してるさ」という高校時代の恩師のひとことに、かつて私と暮らしていた人が、反発したことがあった。
私はその恩師に期待されていることを支えに生きてきたと思う。反発した、ある種、深い諦観を生きた人は、ありえないほどやさしい人だったけれど。
書く覚悟、と、読む覚悟。
新宿での9月のイベントでは、アンケートに、二人の参加者が、「軽い気持ちで来たことを」「反省」ないし、「後悔」したと記した。
あらためて自分のしたイベントに向き合ったよ。
福井の5月みたいに、完全に「参加型」にできなかったし、する訳にいかない事情もあった。
主催者に招かれていたしね。
ありがとう。雪って切ないよね。

| ケイコ | 2012/12/08 23:34 | URL |

僕は、知りたいなと思った。
のえさんの事もそうだけど、ケイコさんや、ヒデコさんがずっと一貫して言っている事。

5月5日のイベントに参加したとき、これまで感じた事の無い繋がり方や、分かち合い方があると直感した。
きっとケイコさんが書いているのえのCDブックはすごく大事な事が書かれているだろうし、また、ケイコさんヒデコさん自身がどういう姿勢で一言一言に思いをこめたか、孤から個へ見つめることができるだろうと僕は期待しています。

| ごう | 2012/12/08 19:19 | URL |















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