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魚の骨がひっかかったみたいに¨¨トーキョーってナンだ??

魚の骨がひっかかったみたいに¨¨トーキョーってナンだ??

帰宅したのは、さきおとといだよな。そう、おとといの一日のことは、このブログにも書いたしな。もう三日目のひとりのベロ亭を暮らしている。
今は、ヒデコは個展の打ち上げの最後の時間に臨んでいることだろう。ちゃんと伝わるかな。ちゃんと、終えられるかな。

いろんな言葉が断片的に浮かんでくる。
悪意なんかこれっぽっちもなくとも、その意味が超然と浮き立ってくる時間を生きているような、そんな気がする。

ここ二時間くらい、「嫉妬」ってなんだろうって考えている。

ある時、ある人が、ヒデコちゃんにきいた。「嫉妬ってある??」。
ありゃりゃ、これきくのかよー、って思いながら、聞いていた。
私の出る幕じゃあなかったから。

ベロ亭って第三世界みたいなもんだから、まるで「めぐまれていない」みたいな類のことに、「嫉妬ってある??」ってきける人のことが私はほんとうは判らない。

そもそも、私は嫉妬ってなんなのかが判らないからな。これはハッタツ特性のせいもあるけれど、単にそれだけではない。自閉症スペクラムのどこかに位置する場合、他者が超能力者みたいに見えちゃう時期を経過する。ずうっとそうやって悩む人もいる。それを「嫉妬」と取り違える人生は、いっそうつらいものになる。

私はその事がどうしてなのか、考えに考えて向き合ってきた。向き合える力が、私に備わっていたのは、もしかしたらラッキーだったのかもしれない。

「わあっ、こいつらずるいなあ」っていうなら判るよ。
例えば、初めてパワステの車に乗った時、「ええっ、みんなこんなに楽なハンドル操作で車に乗っていたなんて知らなかった」てな類のこと。

途上国から来たら、日本なんて「ずるい」の連続だよな。大きなテレビ画面が、各家のみならず、各人にあったりするんだから。だけど、それに嫉妬するかどうか、は、別問題だと思うんだよね。

これは私の思考の必然であり、単に緻密だったり、考えすぎだったりする訳じゃあないんだ。

「嫉妬してる?」ってきける人のシンプルな思考は、それはそれでいいのかな。それですんでいるってことで。でも、それですむってどういうことだろう。

ある人が言った。
「地方がそんなに大変なら、なにかお手伝いしましょうか」。
これも悪気ひとつない。心からの申し出。

ヒデコと二人で「絶句だよね。」ってあとで顔を見合わせた。
「住まなきゃわからないよー」。
ホントはもっともっと言いたいことはあるけれど、このくらいにしとくね。

要するに、「めぐまれている」と思っている人たちが、本当に恵まれているのかどうかってことなんだ。「めぐまれている」って思えているって、もっと謙虚だったり、なにかもっともっと違うことのような気がするんだな。

めぐまれているって思っている人たちが、トーキョーに多いことに、今さらながら、はっきり言うけどあきれている。逆転はないのかよー。そんなに簡単に考えちゃって、人生まわるわけないじゃない。ええっ、回っているの。だとしたら、それは私とは、少なくともかなり違う人生だよ。

私はトーキョーを捨てた。
それでも、トーキョーバージョンになれば、それなり回る頭も心も今もあると判った。
そういう意味では捨てたって言いきれないかもしれない。

でも、私はトーキョーを捨てた。
トーキョーの上昇志向を捨てた。

捨てた指向が、ぐるりと還暦を過ぎて、ひとまわりして今ここまで来ている。

のえの命日まで、あと1週間を切った。
のえの人生は、私がトーキョーの上昇志向と、「めぐまれている」という錯覚が支配する世界から去ったあとから、展開しつづけた。

今、最後の最後を書き上げようとして、明白に立ち上がってくるものに頷く。

のえはトーキョーと、キョートと、オーサカの辺境を生きて生きて、逝った。その意味を巡りに巡った日々を、ちゃんとに終わらせよう。
最終章と、エピローグ。

ある人も言ってたっけ。
「あなたたちの番組観て、『地方』って選択肢があるってことがショックだった」。
私はかなりなタイミングで返した。
「トーキョーも一地方だと思っているから」。

多分、私がトーキョーで青春を生きて、思春期を悩んで、くぐりぬけた事柄をそろそろ言語化する時期が来ているのかもしれない。

のえは新宿の小ガード下で唄い始めたんだよ。
私は新宿の高校で、沈みに沈んだのちに、のえと共に、浮かび上がった。

こんなにも豊かな、なんでもない、そのまんまの私がそこにいた。
ぐるりと回って、私は今もそこにいる。
そのことを、そろそろ誇りにしてみようかと思い始めている。はっきりと。

ケイコ
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