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心をからにして臨めるのだろうか

あと数時間で、おそらく最後になるだろう「グループがんばろう」と「プエンテの会」の話し合いが持たれます。

砕くべき心ももうない。ただ、心をからにして無にして、そこにいられればと願っています。

信頼関係が危うくなっているなかでの、スペイン語だけの話し合いは苦行の一点につきます。こわい。限りなくこわい。私のスペイン語力が一番あるなかで、でもすでにその一点で責任を持つということはできません。祈る。ただ、祈る。これ以上、破壊的なことがないように、これ以上痛みに満ちたことがないように、保身に身を固められようと、嘘でとりつくられようと、祈る。ただ、祈る。

それ以外の手がないところまで、いま私は来ています。

土曜日、グループの若いメンバー宛に、それからサブリーダー的存在であるリス宛に、スペイン語の手紙を最後の力をふりしぼって書きました。二時間、授業料を払って、その手紙を徹底的に訂正、添削してもらいました。例のあのスペイン語の先生にです。彼女はその作業が終わったあと、「この添削には汗をかいてしまった。大変だった」と述懐しました。信頼関係が必要最低限でもできてきている中で、こんなに個人的な手紙を責任を持って訂正する作業に渾身をこめてかかわってくれた彼女に感謝しています。

この先生にも、ヒデコのやきものの仕事を通して出会いのあった、以前カナダのNGOで二十年余り働いていたという、女性や子どもへの暴力の解決にかかわっていたという女性にも、相談しました。この海外在住歴のある女性は、この活動の歴史はほとんど知らないながら、最近の問題をかいつまんで聞き終えると、「あなたたちがここにずっと住まなければ、簡単に解決しない問題だと思う」と答えました。これはきつかった。数時間、胸の底から震えがきて止まらなかった。

スペイン語の先生にも、何気なく「ここにいつも住んでいなければならないのかしら」ともらすと、「でも、八年間を合わせると、ほぼ四年間。それは相当な体験のはずだけど、ペルー人のメンタリティーを知るには、十年はかかるものなのかしらねえ」と返ってきます。

かたや、ペルー在住日本人のほうを見ると、まずほとんどすべての人がペルー人の上に立つことで、このペルー社会を切り抜けることを選んでいます。つまり、ペルー人を下にして使うのです。

いま、私の傍らにある茨木のり子さんの詩集のなかの一つの詩が、はるかに私をかり立てます。なにに向かって? それにいま答えることはできません。

マザー・テレサの瞳

マザー・テレサの瞳は、時に猛禽類のように鋭く怖いようだった。マザーテレサの瞳は、時にやさしさの極北を示してもいた。二つの異なるものが融けあって、妖しい光を湛えていた。静かなる狂とでも呼びたいもの、静かなる狂なくしてインドでの徒労に近い献身が果たせただろうか。マザー・テレサの瞳は、クリスチャンでもない私のどこかに住み着いてじっとこちらを凝視したり、またたいたりして中途半端なやさしさを撃ってくる。

鷹の目は見抜いた。日本は貧しい国であると、慈愛の目は救い上げた。埃だらけの瀕死の病人を「なぜ、こんなことをしてくれるのですか」「あなたを愛しているからですよ」愛しているという一語の錨のような重たさ。

自分を無にすることができれば、かくも豊穣なものがなだれこむのか。さらに無限に豊穣なものを溢れさせることができるのか。こちらは逆立ちしてもできっこないので呆然となる。

以後省略。行変えなど、適宜書き換えさせていただきました。

さて。さて。

一週間前から合流した、「プエンテの会」の会員でもあるトモコ先生いわく。
「リーダーのあの人、日本で案内したときは、あんなにきらきらしたものがありましたよね。なのに、どうしてあんなふうに変わってしまったのでしょうか。」
彼を日本で案内した方々、少しでも地球の反対側で刻一刻と時を刻んでいる事態に思いをはせていただけたらと思います。それがどんなに想像を超えているとしても。それがどんなに歴史的な痛みや罪の膨大な計り知れない積み重なりの末だとしても。

私は私たちの限界とともに、若い彼らを思う気持ちのひとかけらでもふたかけらでも、大事に大事に残したい、失いたくないと、自らを賭けたこの八年間の自身の尊厳をかけてそっと思います。溢れないように、とどまらないように、停滞しないように、沈まないように、私はいまここにいます。

地球の反対側のクスコ市のキスピカンチス区のこのアパートの一室で、私のいまを一刻一刻刻みながら、私はいまここにいます。



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| プエンテの会から | 05:35 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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